My LOVEr IS brother  07

自分が今何をすべきなのか、解らない。 背徳心など欠片も生まれることなく求められるままにキスをして・・・・・・あの時、本当に求められているだけだっただろうか? 求められているから、与えてやっているつもりでいた。けれどそれは事実だろうか? 避けようと思えば避ける事の出来たキスを受け止めたのは他ならぬ自分なのに、何故アレンの 真摯な想いを正面から受け止める事が出来ないのか。 背徳心は無い、では両親への罪悪感か。 それも違う。 兄として護ってきた弟から恋愛対象として見られていたのは衝撃だったが、やはり嫌悪などは無かった。 アレンを愛しているのは嘘じゃない。 誰よりも護りたいと思っているし、これからも・・・おそらくどちらかが死ぬまでそれは変わらない。 だが、あの笑顔を護りたかった筈なのに腫れてしまうほど泣かせたのは自分。 兄を想う事にどれだけのリスクがあるのか、アレンはずっと昔から知っていたのだ。 いつまでも子供だと思っていた神田は、その点でも多少心苦しい。 言わないでいたアレンの想いの丈を、『兄弟』だからという理由で踏みにじった。 そんな事はアレン自身最初から解っていて、だからこそ言わなかったし・・・・・・言えなかったというのに。 無理に聞き出した挙げ句、結局は突き落として。 「畜生・・・・・・」 弟として、愛しいと思う。 心からそう思っているのに、キスを拒まなかった自分に対する言い訳はない。 本当に、あのキスは親愛の情を含んだものだったのか? 神田は頭を振って、ソファにかけていたジャケットから車のキーを取り出す。 机に置いてあった携帯のメモリーの中から一人の青年を呼びだし、玄関へと向かう前に一つの扉の前に立った。 「アレン・・・昼と、夕飯の買い出しに行ってくる。鍵は掛けて行くが・・・知り合い以外は開けるな」 中から「わかった」と小さな声がしたのを聞いて、神田は肩の力を抜く。 あんな事があったばかりで一人にしておくべきではない、・・・けれど自分自身がこの感情の意味を見付けられ ない限りアレンは苦しむだけで・・・・・・。 誰かに頼るなど情けない話だが、神田は1時間ほどで戻ろうと家を後にした。 CLOSEと掛かっている札を無視して店の扉を開ければ、コーヒーの香が店内に広がっていた。 さすがはバリスタと言うべきか、そこら辺の安いカフェより幾分も煎れ方を心得ている。 ラビは眉間に皺を寄せた神田が席に着くのを見て苦笑し、自身もカウンターから出て向かい側の席に着いた。 ここに来る前に、神田は車の中でラビに連絡を取っていた。 ラビはこの店が入っているビルの3階に部屋を借りていて、神田が来るまでにコーヒーを煎れていたのだ。 湯気の立つカップに口を付け、神田は頬杖をついてぐったりと項垂れる。 その様子を見て、ラビは自分から口を開いた。 「アレンに、好きとか言われた?」 「何でお前が知ってんだよ・・・・・・」 昔から、どこからともなく情報を仕入れては学校や教師陣を脅したり丸め込んだりしていた友人を睨み付け、 神田は溜息を吐く。 「昨日、アレンが学校帰りにここ来ただろ?その前に会ったんさ。ちょっと踏み込んだ話しちまって・・・泣かせたんだけど・・・」 「ぁあ!?泣かせただぁ!!?」 「泣いたのは俺の所為だけど、原因はユウだろ?そんなに怒んなよ・・・・・・それに、ユウもアレン泣かせたんだろ?」 別に責めるわけじゃねーけど、とコーヒーを啜るラビに、神田は息が詰まる。 確かに泣かしてしまったのは事実で・・・ラビと居た時に泣いた原因も間違いなく自分なのだろう。 泣き濡れた顔を思い出し、柳眉を思いっきり顰めた。 「キスねぇ・・・・・・嫌じゃなかったんさ?」 「・・・・・・欠片ほどもな」 携帯で一通り聞いていた事の流れを思い返しながら、ラビは長い前髪を掻き上げる。 「アレンの事、愛してやれねーの?弟としてじゃなく、アレン個人として」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「アレンにキスした事に後悔はして無い。自分たちの親に悪いとも思って無い」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「ユウはさ、怖いんだろ?もしアレンの事を恋愛の対象として見ちまったら、たった2人だけの兄弟が消えちまうみてーで」 的を射ているだけに、神田は大きく溜息を吐く。 結局はそういう事なのだ。 アレンを恋愛の対象として見る事は出来る。 それは愛情のカタチが変わるなどという難しい話ではなく、ただ心から愛しいと思う者を、純粋に愛したら良いだけの事。 そこを踏みとどまったのは、もうお互いしかいない『家族』を壊したくなかったから。 護ってきたものは『弟』で、その『弟』は自分を『兄』として見ていなかった事は哀しかった。 けれどあの直向きな想いに不快感を覚えてはいない。 「俺は、ユウが自分の中で認めたく無ェ感情を口にして言ってるだけだからさ」 「わかってる・・・だから今は、ちゃんと認めている」 認めざるを得ない・・・。 認めなければ進む事は出来ないし、アレンの涙も・・・止める事は叶わない。 「なぁ・・・ユウ」 「あ?」 「俺がさ、アレンの事ずっと好きだった・・・って言ったらどうする?」 「は?お前何言ってんだ?」 神田はラビと長い付き合いだが、これまでに男色の気があったという話は聞いた憶えが無い。 現に今もこの男の瞳の奥は飄々としていて、嘘か本当かも見極めかねる。 「俺がアレンにキスして、抱き締めて、手ェ繋いで、それ以上の事しても・・・ユウ、笑ってられるか?」 「―――――・・・無理だな。例えお前でも、俺の気の済むまで殴り飛ばす」 探るようなラビの瞳は次第に細められ、神田はハッと息を呑んだ。 インテリアとして置かれている大きな掛け時計が時を刻む音だけが、静かな店内に響く。 カタンッ・・・・・・と、神田が車のキーと携帯を持って席を立った。 「ラビ・・・悪かったな。朝っぱらから」 「別に?俺はユウもアレンも好きだから。あんだけ仲良かった兄弟が気まずくなんの見たく無ェだけさ」 店を出ていく神田が振り返って言った言葉に、ラビは人好きのする笑みを浮かべてニカッと微笑んだ。 back  next
何処まで引っ張る気なのか・・・・・・。 キリ良く10話にでもしましょうか・・・エロ書きたいし・・・((orz 背景より感情を優先した所為で文が拙いです。 ・・・・・・・・・・・・すみません。 canon 05 12 17 sat
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