04:傷痕
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薔薇のアーチガーデンを潜り抜けた場所に、最高議会の城はあった。
本部よりも高い天井にはステンドグラスが輝き、陽光を通して足下を色取り取りに照らしている。
聖母と呼ばれる女性は神の子と崇められた子供をその両腕で柔らかに包み、清らかな微笑みを絶やさず口許と目元に刻む。
全てを祝福するために舞い降りた御使いは生まれたままの姿で天を飛び往く。
アレンは、ステンドグラスに描かれた絵を純粋に美しいと思う。
けれど、それは描かれている絵、そのものであり、母や子や天使という類のものに一切の興味は無かった。
案内役が時折振り返ってはステンドグラスについての説明をしていてくれたが、アレンはそのほとんどを聞いていない。
では神田はというと、退屈しのぎに耳には入れていたが並行して歩くアレンが自身の右手で左腕を掴んでいるのに気付き、
風に揺れる白銀の髪を慈しむような仕草で撫でた。
冷めた瞳で見上げるステンドグラスにアレンが何を思っているのか、神田には容易に想像出来た。
『もしあの腕で護られている者が神の子で無ければ、御使いや民からの祝福など受けることは無かったのでは』、と。
おそらくはそう思っているのだろう。耳元で囁くと、アレンは困ったように微笑んだ。
「僻みですよ・・・。彼は神の子として祝福されたけど、同じように生まれてきたのに僕は・・・・・・」
寄生型イノセンスの適合者だったために、捨てられた。
続く筈だった言葉を、神田は触れるだけのキスで閉じこめる。すぐに放されたそれに案内役が気付く事は無かった。
「でも、良いんです。そんな事はどうでも。・・・僕が寄生型じゃなければ捨てられる事も、
マナに拾われる事も、師匠に出会う事も、教団に来る事も・・・―――――――――・・・・・・神田に会う事も無かった」
そう思うと、僕はこの左手に感謝すら覚えるんです。
心から幸せそうに笑うから、神田はアレンの左手を取って口付けを落とす。
赤黒い腕、爪は黒く変色し、決して美しいとは形容出来ないものでも、それがアレンの一部だと思えば何の躊躇いも無い。
もう幾度と無く繰り返されるその行為にアレンは花のように笑い、放された左手を神田の右腕に絡めて歩く。
先程より少し和らいだ銀灰色にステンドグラスの光が解け合い、それはどんな芸術品よりも美しい宝玉のように思えた。
通された空間に、二人は同時に眉を顰めた。
教団にある礼拝堂もかなりの広さと高さを誇るが、最高議会の城はそれを遙かに凌駕していた。
だが、神田とアレンが驚いた理由の大半は面積の話ではない。
教団にある物の倍以上はあろうかと思えるローズクロスのレリーフに背を向けて座っているのが、
おそらく最高議会の議長、及び議員。
彼等は地上より高い位置にその身を置き、両サイドにいる大元帥や元帥達をも見下ろしている。
その中に不機嫌そうに座る師の姿を見つけ、アレンは肩を竦めた。いつものように逃げ回ったが、結局は連行されたのだろう。
案内役は中央にあるソファへと二人を連れて行き、座るように促す。
調度品と思わしきソファは数人がゆったりと座れるように作られ、
目の前には同じように無駄金が遣われているであろうテーブル、その上にこれまた華美なグラスが置かれていた。
「神田ユウ、アレン・ウォーカー。遠方から遙々ご苦労であった」
嗄れた声の主は二人を真正面から見下ろし、その席は中央に位置する。
無駄に大きな椅子に腰掛けているのは、この場にいる中でも最高の権力を持つ者だからだろう。
アレンはふと、この席の位置関係に目を配った。
真正面には最高議会の面々、左側に大元帥、右側には自分や神田の師を含む元帥の姿。
そして、幹部クラスの者達から余すところ無く視線を浴びている自分達。
チラリと横に目を遣ると、神田は口許に薄い笑みを浮かべていた。おそらく同じような事を考え、気付いたのだろう。
一見無駄に広いと思うだけの礼拝堂だが、ここは何の比喩でも無く、『法廷』だ。
罪を裁き、罰を与え、神の前で誓わせる。もっとも、教団の場合は神というよりもローズクロスに誓いを立てさせるらしい。
団服に飾られているローズクロスが心臓の真上にあるのもそのためだ。
「これからいくつかの質問をする。その全てに、正直に答えてもらいたい」
「わかりました」
神田が答え、アレンも頷く。こんな居心地の悪い場所とはすぐに離れたかったからだ。
議長は手元にあった白い紙を持ち上げ、軽く目を通して口を開いた。
「神田ユウ、アレン・ウォーカー。お前達は恋仲にあるな?」
「・・・・・・失礼ですが、何の意図があってのご質問でしょう?」
理由も目的も知らされず遠方から招かれたと思えば突然不躾な質問を投げ掛けられ、アレンは声のトーンを下げた。
挑戦的な瞳に議員達は眉を顰め、隣り合う他の議員と耳打ちをする。
神田はその光景を面白そうに眺め、アレンの髪を宥めるように指で梳いてみせた。
途端にどよめきが大きくなったことに、元帥の席に座る赤毛の男が俯いて小刻みに肩を震わせたのは言うまでも無い。
「アレン・ウォーカー、私の言った事を覚えているかね?」
『これからいくつかの質問をする。その全てに、正直に答えてもらいたい』
・・・記憶に新しすぎる言葉を忘れる筈も無く、アレンは不満そうに頷いた。その応えに、議長は満足気に目を細める。
「えぇ、僕と神田は恋人です。当然ですが、同意の上で」
聞くなり、また同じように囁き合う彼等の態度に神田は呆れたような溜息を吐いた。
最高議会の議員ともあろう者がこの程度か、と。
「では、愛し合っているのかね?」
「もちろん」
迷いの無いテノール。
凛とした横顔とその声音に、アレンは口許を綻ばせた。
議長は止め処なくコソコソと囁き合う議員達を一睨みし、手元にあった紙を捲って書かれている文を訝しげに見つめる。
しばらくの沈黙の後、議長の口許に一瞬だけ皮肉気な笑みが浮かんだのを見たのは、ほんの数人だった。
「アレン・ウォーカー、君は次の質問に答えなくて良い。神田ユウだけ答えてくれたまえ」
「何でしょう?」
神田は背筋を伸ばし、議長の視線を受け止める。
「君はアレン・ウォーカーが育ての親であるマナ・ウォーカーをAKUMAにし、その呪いを受けた事を知っているのかね?」
「・・・それが、何か?」
『アレンを傷付ける事は許さない』
真っ直ぐと射るように見据えた漆黒の双眸に、議長は一瞬息を呑む。
神田がアレンの左手に自分の手を重ねると、アレンは人目も憚らず神田の肩に頭を置き、甘えるように頬を擦り寄せた。
そのままクスリと嗤い、議長に視線を送る。
「っ、我々は案じているのだ!!過去、AKUMAから呪いを受けたエクソシストはいない。
その上、アレン・ウォーカーは予言を受けているそうではないか・・・。もし仮にそのペンタクルが災いを招いたとき、
君は―――――――」
―――――――――――――パリンッ
捲し立てるような言葉は、不意に鳴った高い音に妨げられた。
音源へと視線を向ければ、両手を上げて肩を竦めているクロスが仮面に覆われていない左目に苦笑を浮かべている。
「失礼、手が滑りました」
大して悪いとも思っていないような、飄々とした口調。
三年間共に暮らしたクロス・マリアンにとって、どんな悪態を吐いてもアレンは庇護すべき愛弟子。
アレンにはなかなか心強い味方がいるようだ、と神田は内心で小さく笑い、不穏に歪めていた目許を和らげて口を開いた。
「最高議会が案じておられる事態とは、アレンがAKUMAへと成り果てたとき、俺に愛すべき者が討てるのか、と・・・・・・?」
十八という年齢よりも大人びた表情で、神田は最高議会を見据えた。
「心配は無用です。他の誰かに討たれるくらいなら・・・・・・俺がこの手で」
まさかそんな言葉を聞くとは思っていなかったのだろう。
議員達は驚きに目を見開き、議長までもが他の議員達と囁き始める。
「信じられないようでしたら、今この場で誓いましょう。―――・・・神の、ローズクロスの前で」
神田は組んでいた足を解き、アレンの手を取って立ち上がらせる。
微笑みながら片膝を着くと、左手に埋め込まれた十字へと唇を寄せ、ゆっくりと触れた。
その光景に、ティエドールは歓喜に打ち震えた。
恋人が出来たと直接聞いたときも感極まって泣いたが、まさかあの神田がここまで惚れ込んでいるとは思わなかったのだ。
気位が高く、誰の膝元にも屈しないと思っていた神田が、一人の少年の為に躊躇無く多くの視線の前で膝を折る。
立ち上がった神田はアレンの右頬を片手で包み、愛おしむように額に口付けた。
一足先に退室していたクロスは、アーチガーデンの入り口で煙草を吸っていた。
敷地内禁煙の文字が目の前の巨大な柱に書いてあるのを綺麗に無視して、近付いてくる気配に息を吐く。
短くなった煙草を地に落とし、ブーツの踵で揉み消す。
「よう、馬鹿で・・・し・・・・・・」
振り返ったクロスが見たものは、想像を遙かに超えていた。
せめて神田にベッタリと寄り添って歩いてくるかと思ったのだが、アレンは今現在、神田の腕の中で安らかに寝息を立てている。
思い返せば、確かに気配は二つあったが足音は一つしかなかった。
「お前、ソイツの事甘やかし過ぎじゃねぇか・・・?」
「別に、普通だろ。アンタだって庇ったじゃねぇか」
「手が滑った、そう言っただろ?」
新しく一本吸おうとして、神田からギロリと睨まれた。
やっぱり甘やかしてんじゃねぇか、という言葉を喉の奥に押し込んで、クロスは長い前髪に見え隠れする瞳を光らせる。
「『他の誰かに討たれるくらいなら・・・・・・俺がこの手で』・・・か」
楽しそうに笑うクロスが言いたい事をいち早く察し、神田も口許を歪めた。
あの時、神田はそれ以上何も言わなかった。
『他の誰かに討たれるくらいなら・・・・・・俺がこの手で』
“討つ”などとは、一言も口にしていない。
最高議会があの言葉をどのように受け止めたのか、そんな事は神田の知った事では無かった。
そしてあの時 最高議会の人間は気付かなかっただろう
神田の左手に覆われ 死角になった場所
その位置
離れる際に囁かれた言葉に―――――――
「他の誰かに討たれるくらいなら・・・・・・俺がこの手で、お前を護る」
「聞こえていたのか?凄いな」
「読唇術くらい、お前も出来るだろう?安心しろ、お前が上手く作った死角で最高議会の連中は気付いていないし、
大元帥たちにも背を向けていたから見られていない。気付いたのは俺と・・・ティエドールくらいのもんだ」
「師匠にも気付かれたか・・・」
「涙でお前の口の動きが見えていたかどうかは知らんがな」
何に泣く事があったのか、と柳眉を顰める神田を一瞥し、クロスは背を向けて歩き出した。
また何処かへ身を隠すのだろうと呆れ果てつつ、神田はクロスの進む方向とは逆の方向へ足を向ける。
「黒の教団本部所属エクソシスト、神田ユウ」
アレンを抱え直しながら数メーター進んだところで、不意に声がかかる。
無駄に長い正式名称に振り返り、真剣な瞳を向けるクロスと向き合った。
「クロス・マリアン元帥直々の任務を与える。拒否権は無い」
アレンを抱えたままではろくに衣を正す事も出来ないが、それでも神田の瞳はエクソシストとして申し分ない鋭さを宿した。
「自分の命を無駄にするな。ついでに、その馬鹿弟子も護れ」
泣かせるなよ、と背を向けて手を振る男に神田は頭を下げ、互いに今度こそ振り返る事無く背を向けた。
眠っていた筈のアレンは師の背中を見つめ、『馬鹿師匠』と小さく悪態を吐く。
その声に微かな喜びが秘められていた事を知っているのは、アレンを抱えている一人の青年だけだった。
あれから数時間が経ち、陽は随分高度を上げていた。
窓から差し込まれる陽光に白銀の髪が梳け、淡い金色となって神田の指で弄ばれる。
「なぁ、ユウ」
神田の声に耳を傾け、沈黙を守っていたラビがゆっくりとソファから起き上がる。
「お前さ、『ジール・クライズ』のことどう思う?」
含みのある言い方に、その言葉は神田がジールに対してどのような感情を向けているのか、という意味では無い事が伺えた。
どこか底冷えした幼馴染みの瞳を真っ直ぐに見つめ、神田は煩わしげに目を細めた。
「大きく見れば、敵か味方か・・・それすら怪しいな。ジール・クライズが本部に配属されたのは
俺たちが最高議会に呼ばれた半年後。
あの場は適当に誤魔化したが、議長達に納得した様子は無かったしな・・・。どちらにせよ、奴はイノセンスの適合者だ」
神田もラビもどこかで手を打たねばと日々思ってはいた。
だが、私情を挟む以前に今現在エクソシストが不足しているのは事実。
自分たちは元帥という名の地位を獲得したが、その権限は更に上の者から与えられた称号。
「でさぁ、思ったんだけど・・・要は辞めさせないで消せば良いんだろ?」
ニカッと笑って不穏な事を口にするラビに、神田は眉を顰めた。
「任務中にAKUMAに殺られたように見せかけて、お前が殺んのか?」
「うーわー・・・なんて物騒な事考えるのユウちゃん。俺そこまで鬼畜じゃ無ぇさ」
「どうする気だ?」
「せめて左遷すれば良いんじゃねぇの、とか思って。・・・・・・・・・あぁ、でもジールって推薦組か?」
黒の教団、中でも『本部』という場所は世界中から選りすぐりのエクソシストが集められる。
その大半は、元帥や室長クラスの推薦。
アレンは師であるクロス・マリアン元帥に紹介されたのでこの部類、神田とラビも自分たちの師による推薦だ。
それ以外にも極稀に『立候補』という選択権がある。その場合はヘブラスカがテストを行い、
シンクロ率が合格値を越えた者だけが正式に本部のエクソシストになるのだが、立候補組というのは大抵が『本部』
という肩書き欲しさの者達の為、
彼等には推薦組には無い規則が科せられる。その中の一つ―――――団員同士の揉め事が御法度なのだ。
「立候補組だったらユウが喧嘩吹っ掛けて終わりなのにさ〜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何を隠そう、神田は影で『立候補者潰し』の異名を持つ。
彼等は配属された事に余程の自信がついていたのか、あろう事か不機嫌オーラを惜しみなく出している神田に
突っ掛かっていったのだ。
神田の態度が気に入らないという理由を振り翳して立ち向かったが結果は予想通り。賭のネタにもなりはしない。
神田の性格を少しでも知っている者ならば決してそんな愚かしい真似はしなかっただろうが、
勇敢にも愚かな立候補者達は配属されて一週間以内には本部から姿を消していった。
「消えない奴等もいただろうが」
「ユウがすぐに六幻抜くからアレンが止めてたんだろ?それも付き合い出す前の話だし・・・・・・
今じゃ面白そうに眺めてるだけじゃん。・・・あーあ、可愛いアレンがユウ色に染まっちまった・・・・・・」
「馬鹿言え。コイツは元々あんな性格だ」
「そっかぁ?・・・・・・ま、ユウがそう言うならそうなのかもな。あー、俺も自分の部屋帰ろ。ユウも少しは寝ろよ?」
「あぁ」
喋るだけ喋り、大きく伸びをしたラビはじゃあな、と手を振って自室へ戻って行った。
残された神田も軽く溜息を吐き、ベッドサイドに団服を脱ぎ捨てる。
「チッ・・・あのガキさえ来なければ・・・・・・」
「ん・・・」
忌々しげに悪態を吐く声に反応したアレンがうっすらと目を開き、振り返った神田と視線を絡める。
眠りを妨げた事に軽く謝罪すると、アレンは自分のくるまっているシーツを片手で上げて入るように促した。
まだ完全に覚醒したわけではないのだろう。虚ろな瞳で見上げてくるアレンが可愛くて仕方無い。
促されるままに身を滑り込ませるとアレンはすぐに神田の胸へと顔を埋めた。
擦り寄って甘えてくるアレンの背に腕を回して抱き締め、額に優しいキスを贈る。
「ガキ・・・て、ジー・・・ル?」
途切れ途切れに聞こえてくる声は再び夢の中に誘われようとしている。
これ以上喋って本格的に目が覚めるのはどうかと思ったが、答えなければアレンは不機嫌になるだろう。
「あぁ・・・。気にするな。まだ寝て―――ッ、!?」
耳元で優しく囁いた刹那、突然起き上がったアレンに両肩をベッドへ押さえ付けられた。
一体何なんだ、と口を開こうとした神田に馬乗りになり、開き掛けた唇に自分のそれを重ねて塞いだ。
「っ、アレ・・・ん・・・・・・!!」
アレンはいつも神田からされるように舌を絡め、角度を変えては銀糸の糸を引く。
ピチャリと音がして唇が離れる頃アレンの瞳は熱に潤んでいた。
肩で息をするアレンを腹の上に乗せたまま、神田は腕を伸ばして寝癖のついた髪を梳いてやる。
「珍しいな」
「神田が悪いんです」
「?」
「気持ち良く寝てたのに、ジールの話なんかするから」
アレンは面白く無さそうに目を細め、触れるだけのキスを再度唇に落とす。
目を開いたまま固まった神田から目を逸らし、唇を尖らせて降りるとトサッとシーツの上に倒れこみ、
背を向けて小さく丸まった。
「―――――アレン」
耳朶を甘噛みし、舌を差し込む。
ビクンッと跳ねた身体を腕の中に閉じこめ、隙間無く抱き寄せた。
「可愛い」
「・・・・・・・・・狡いです」
意地でも振り向かないと思った身体は軽く力を入れただけで方向を変える。
強情にも俯いたままの顎を指で掬うと、赤く染まった目許が目に入り、ほんのりと色付いたそこへキスをした。
「まだ寝ていて良い。俺も寝る」
不満気に唇を尖らせながらも、アレンは神田の胸に顔を埋める。
その様子を心から愛しいと感じながら、神田の意識は別のところにあった。
ジール・クライズが動くためには、俺たちが一緒にいるわけにはいかない。
アレンにとっては辛い思いをさせると解っていながらも、神田の頭はジールをいち早くこの本部から追い出す事を考えていた。
この日の夕方、任務から帰ったジール・クライズは食堂にいた神田の元へ即座に駆け寄ってきた。
いつもなら軽くあしらう筈の神田がこの時だけはジールを適当に相手しているのに疑問を持ちながら、
アレンは横で食事を続けていた。
そして、一頻り任務の話をし終えたジールが踵を返したとき、
「ジール」
神田がジールを呼び止め、次の瞬間には彼のウェーブのかかった髪をクシャリと撫でたのだ。
「鍛錬を怠るなよ」
向けられた眼差しと言葉に、ジールは大きく頷いて去って行った。
神田が自分から触れるなど、これまでに有り得なかったし、これからも有り得ないと・・・誰もが思っていた。
アレンは食べかけの料理を放置して立ち上がり、蕎麦を啜る恋人に何も告げず背を向けて食堂を出て行く。
神田はその背に声を掛ける事も、ましてや呼び止める事もしなかった。
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ジール出す気あんのかな・・・・・・。
いや、あります。
次・・・あぁ出る出る。
捏造しまくりでゴメンナサイ。
最高議会って何ですか。立候補って、推薦って何の話ですか?
話の意味が理解出来ない方はメールでもBBSでもご連絡下さい((orz (願わくばメール希望・・・)
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