夜空と欠けた月
夜空と星の砂 − Beautiful in a moment −
友人とも、仲間とも呼べない。
ただひとつの気持ちだけが確かで、みんなそこにいた。
寂しさや哀しみはひとりで抱えて、笑顔で分かち合えるものだけを曝け出していた。
すこしの弱みくらい見せておけば、僕たちはもっと違った形に成れたのかな。
今になって、そんなことを思うよ。
ねぇ、
今、君たちは元気にしてるのかな。
あれ以来会うこともなく、連絡を取る術はあっても機会がない。
会いに行ってみようか、と。
臆病な僕は、その一歩も踏み出せない。
時間は、人を変える。
彼らは、彼女たちは、変わっただろうか。
そう思うと、尚更会いに行けない。
いつまでも変わらない自分が、いつまでも共に過ごしたあの日々を宝物のように思っている自分が、みんなにとって過去に成っていたら -----。
そんなことばかりを考えて、足踏みをして、ただ靴底を減らす。
履き替える靴も無いまま、今も僕は、みんなで話した口約束の未来旅行を思い出す。
この戦いが終わったら、雪が溶けたら、春になったら、きっと行こう。
土埃と血の臭いの中、口の中は砂だらけで、無理やり笑いながら話した。
いつか、みんなで、きっと。
幸せな言葉を並べて、ただひたすらに戦い続けた日々も、僕の中ではキラキラしていて眩しい。
二度とかえらない日々だと思うから。
だから、余計に。
会いたいと、願う。
その度に思い出すのは、
一番鮮明に甦るのは、
君と見た、あの言葉にならない世界。
苦しくて、
嬉しくて、
哀しくて、
切なくて、
いとおしくて、
愛おしくて。
涙がこぼれそうだった。
瞬きする間に変わっていく、限り有る夜。
ねぇ、
今でも君は思い出す?
一緒に見たあの空を。
もう二度と出会うことは叶わない、あの美しい世界を。
僕は、
もうずっと、
夜が来る度に、あの夜空を思い出してる。
雨が降っていても、星が見えなくても、夜に窓際で目蓋を閉じると、僕の眼裏にはあの夜が浮かぶ。
特別だったんだ。
あの夜だけじゃなくて。
君のことが。
特別だったんだよ。
千切れてしまう雲に想いは乗せられない。
絶えてしまう星に願いは託せない。
二度と出会えない世界は今も、届かない歌を奏でている。
さようなら、スピカ。
ひとつに見えるのに、決してひとつにはなれない星。
あれから時間が経って、みんな別々の道に。
だけど一度繋がった縁は、きっとまた繋がると信じています。
彼の人に捧ぐ、再会への歓びのきもち。
|Date : 2009.08.26