A Dear Pet Only For Me
エクソシストの減少に伴い、任務に就くときは元帥と一般のエクソシストの二人でという事が正式に決まったのは、 もう半年以上も前のこと。 だがこの日、任務帰りの神田の傍にパートナーであるアレンの姿が無い事を、事情を知らない団員たちは不思議な 目で見ていた。 任務じゃなくとも生活の9割は互いの隣で過ごしている―――と認識されている―――彼らが、何故任務の時に一 緒じゃないのか。 ただでさえ機嫌の悪そうな神田に直接問う勇者は現れなかったが、神田本人からしてみればそんな好奇の視線だけ でも十分煩わしく、足早に自室を目指した。 ところが、 「わ、ちょ、っと・・・・・・くすぐったいってば!」 「ふふ、この仔よっぽどアレン君が好きなのね」 談話室の前を通り過ぎようとした時、明かりの灯る中からの話し声に足を止めた。 神田が急いでいた理由は任務に疲れた身体を早く休ませたいからでは無く、体調が悪いならと今回の任務への同行 を控えさせたアレンを心配していたからで、談話室に居るのなら自室に行く理由は無い。 神田は数歩戻ってノブに手を掛けて押しながら、中に居るのだろう恋人の名を呼んだ。 「アレ―――」 「や、ダメ!!入っちゃダメだってば!!」 「・・・・・・あ?」 「あら神田、おかえりなさい。ご苦労様」 「お、ユウ。おかえりさ〜」 アレンと向かい合わせに座っていたリナリーとラビを一瞥し、神田は訝しげに眉を顰めてアレンを見詰めた。 いつもなら己の気配を感じただけで飛んでくるアレンが談話室に居ながら出てこなかったのは、まだ体調が万全で ないからとも考えたが・・・・・・どうやらそういうわけでも無いらしい。 アレンは未だに何かとじゃれ合っているような声を上げ、すぐ背後に迫っていた神田の存在に気付いたのは、前に 座っていたリナリーとラビが「後ろ後ろ」と苦笑交じりに教えてくれた後だった。 「あ、神田!!おかえりなさい」 「・・・・・・」 振り返ったアレンはパッと笑顔を咲かせ、神田の腕を引っ張って頬に一つ口付ける。 任務帰りに加えて機嫌が急降下しそうになったのをどうにか持ち直した神田は、自らもアレンの頬に唇を寄せよう としたのだが、 ふに。 頬に触れるまで残り10cmも無かったところで、突如、何者かがそれを阻んだ。 少し冷たく、弾力のある柔らかなものが唇に押し当てられ、神田は柳眉を吊り上げる。 「みぃー」 「あ、こら、駄目だよユウ。怪我してるんだから大人しくしてないと」 “ユウ”と呼ばれた仔猫はアレンの団服の中からひょっこりと顔を出し、神田の唇を押さえていた手を掴まれて イヤイヤをするように少し暴れた。 状況を把握しかねた神田はしばらくその形のまま静止していたが、向かい側で腹を抱えて笑う同僚たちを一睨み し、不機嫌さを微塵も隠さずにアレンの隣に腰を下ろす。 すっかり調子を取り戻したらしいアレンはじゃれてくる猫を可愛がり、その横顔に神田は小さく安堵の息を溢した。 任務に出る直前まで青い顔で「僕も行きます」と言い張っていた面影は何所にも無いので、本当に大丈夫なのだろう。 右手を伸ばして頬を撫でれば、驚きながらもふわりと微笑んでくる。 任務の疲れが取れるには十分過ぎるもので、神田は自身の現金さに内心苦笑を漏らした。 「もう平気なんだな?」 「はい、心配掛けてすみませんでした」 もぞもぞと動いていた“ユウ”がアレンの服をよじ登り、ふさふさな毛が神田の指にも触れる。 真っ黒な瞳に毛の色から『ユウ』と呼んでいるのだろうが、その事について理解は出来ても納得は出来ない。 寄りにもよって、自分の名前を付ける事は無いだろうに・・・・・・。 言いたいことが分かっているのか、アレンからは何も言って来ない。神田は仕方なくアレンの顎を指先で掬い、 言い訳をさせないように声のトーンを落とした。 「アレン、そいつの名前」 「ユウです」 「にぃー」 「変えろ」 「嫌ですよ。もう覚えちゃったよね、ユウ」 「にゃー」 「ほらね?」 「・・・・・・」 痛む頭を押さえてソファに深く身を埋め、未だにニヤニヤと鬱陶しい目の前の二人に舌打ちをする。 わざわざフランス南部まで赴き、ハズレの任務をこなして帰った後でこんな風に追い討ちを掛けられれば機嫌の 悪さも料理長が作る料理並に極上の産物と化す。 だからこそそれを楽しんでいる同僚には腹が立つし、自分を蔑ろにし過ぎる可愛い恋人に多少の不満が生まれて しまうのは仕方が無いが、それを表立って言うほど神田は子供でも無かった。 ザラつく舌で首をペロペロと舐められる事をくすぐったがり、アレンは人前で滅多に見せない笑顔を無償で振り 撒く。ここに居るのが神田やラビ、リナリーだけなら構わなかったが、まだ午後9時を回ったばかりのこの時間、 談話室にはまだ多くの団員が肩を並べ、普段は見られない光景に釘付けになっていた。 神田はアレンの肩に腕を回し、鋭利な漆黒の瞳で周囲をゆっくりと見回す。 その時点でハッと気付いたギャラリーは良かったが、アレンの可愛さに見惚れて神田の視線から逃れられなかった 者は顔面蒼白になり、震え上がりながら談話室から逃げ出した。 「・・・・・・半分くらい減ったわね」 「正確には7人さ。逃げ遅れて後ろで寝転がってるの入れたら8人」 コーヒーと紅茶をそれぞれ口に運んだラビとリナリーはほっと息を吐き、若者を見守る老人よろしく向かいの二人 と一匹を見詰める。 周囲の出来事を特に気に留めていないアレンは仔猫との遊びに未だ没頭し、神田は任務の疲れもあってか、通常よ りは疲労しているように見て取れた。 本当は少しでも早く眠りたいのだろうが、腕の中に収めて眠りたい恋人がこれではしばらく神田の望みが聞き届け られる事は無さそうだ。 ラビやリナリーは神田をからかう事を本気で楽しいと感じているが、任務から帰ってきたばかりの同僚を労わらな い気持ちを持ち合わせていないわけでは無い。 いつもなら神田の身体を第一に気遣うアレンもこのままでは当分眠りそうに無く、二人は顔を見合わせて「仕方無い。 今日くらいは」と同時に立ち上がった。 「アレン君、今日はもうお開きにしない?ユウは私が預かるから・・・・・・神田も任務から帰ったばかりだし、ね?」 微かな眠気に囚われていた神田はその言葉にフッと顔を上げ、助け舟を出してくれたリナリーに僅かながら感謝し た。リナリーから言われれば、弟的な扱いを受けているアレンも大人しく言うことを聞くだろう。 ソファから立ち上がり、込み上げた欠伸を噛み殺す。 仔猫と束の間の別れを惜しんでいるアレンに「行くぞ」と声をかけようとしたとき、 「あ・・・・・・じゃあ、お願いします。ユウ、いい子にしてるんだよ?」 ちゅっ、と聞こえた音に瞠目してそちらを見れば、猫の鼻に触れるだけの可愛いキス。 余程仔猫を気に入っているのかアレンは出来ることなら一緒に眠りたそうにさえ見えたが、神田は機嫌の悪さに 拍車を掛けられ、寛大にはなれなかった。 さすがに今日はアレンを抱くこともせず、ゆっくりと身体を休めたい。 それをこの仔猫に邪魔されたくも無い。 神田はリナリーに預けられる仔猫を見詰めて小さく舌打ちし、「仔猫に嫉妬なんてみっともないさ」と小声で言っ た同僚の脇腹に盛大な蹴りをお見舞いした。 翌日。 神田は鍛錬の為に夜明け前に起きたが、その時すでに腕の中に居た筈のアレンの姿は無かった。 もしかしてベッドから落ちたのかと思えば、椅子に掛けてあったアレンの団服が無い事に気付き、寝起きから 深い溜息を吐く羽目になった。 軽く身支度を整えて六幻を手に部屋を出るが、まだ辺りに人の気配は無い。 等間隔に備え付けられた明かりの中を進んで食堂へ立ち寄ってみれば、中からは料理長とアレン、そして昨夜 眠りに落ちる瞬間まで嫌と言うほど聞かされた話題の子猫の声が忙しなく響いていた。 「ミルクは少し温めてからにしましょ!」 「はい、ユウ。カリカリはもう少し大きくなってから食べようね?」 「みゃぁー」 気に入っている、どころの話では無い。 一つの物に執着心を見せないアレンがこれ程何かに表情を変えるのを、神田は自分の事以外で見たことが無か った。 昨夜の話では「もうすぐ怪我が治るから、完治したら町に下りて飼い主を探す」という事だったが、このまま の勢いではそのうち「飼いたい」と言い出すのも時間の問題に思える。 幸い、教団には誰かしら世話をする人間が居るし、特に料理長などは自分が作った物を美味しく食べてくれる 存在ならば誰彼構わず気に入る習性がある。それは例え仔猫でも例外では無さそうだ。 食堂の入り口に背を預けた神田は声を上げて笑うアレンを眺め、僅かに口許を緩めたが、ふと自身のどこかで 不快な感情を覚えた。 笑顔になる事は別段悪くない。ただ、今アレンが見せるそれは無邪気な仔猫に向けられている為に、あまりに 無防備なもの。 「・・・・・・チッ」 自分以外の前で、自分にしか見せなかった笑顔が誰かの目に晒されるのは、あまり気分の良いものでは無かっ た。仔猫だから効いている理性も、これが人間であれば神田は容赦無く相手を牽制―――脅しと言って間違い では無い―――していただろう。 その場に溜息を残し、扉から背を離して足音を消して鍛錬の為に外へと向かう。 今更消音をしたところで、仔猫に夢中なアレンが気付くとも思えなかったが。 それから三日後。 神田元帥の理性も徐々に亀裂を走らせていた。 「アッ、もう、ユウ!!」 「みぃーっ」 床で仔猫とじゃれ合うアレンを視界に留めながら、神田は大して読みたくも無い古書のページを今日もまた一枚 捲っていた。 三日間でしたアレンとの会話と言えば9割方が仔猫の話で、その間神田が相槌をうった回数は百回を優に超えて いる。こんな時に限って任務は入らず、机の上に重ねられたラビお勧めの本はとうとう二桁になろうとしていた。 笑顔を絶やさないアレンは確かに珍しく、愛らしくもある。 だが、 「アレン」 「あっ、はい?っコラ!!服の中に入っちゃ駄目って言ったでしょう!?」 「・・・・・・」 外で遊ばせては虫が集ると思って部屋に留まらせたものの、これはこれでストレスが溜まる気がした。 任務で会えなかった時間を考えれば、かなりの間二人は互いの肌に触れていない。 こんなに触れなければ普段はアレンの方から誘ってくる事も珍しくないのだが、今のアレンに性欲というものが 存在するのかさえ謎に思えてきて、神田はぐしゃりと前髪を掻き上げた。 本を放り、ベッドに背を預けて床に座るアレンの後ろ髪に手を伸ばす。 露になった白い項を指でツ、と撫でれば、途端アレンの身体は魚のように跳ねた。 「あっ」 久々に聞く声色はやはり耳に心地良く、神田は口端を吊り上げる。 ベッドに引き上げたアレンの首筋を舌で辿り、吸血鬼が人間の生き血を吸うように赤い華を咲かせた。 「か、んッ」 「仔猫には舐めさせてただろ?」 耳朶を甘噛みして問えば、濡れた吐息が漏れる。 その吐息すら逃すのは惜しいと深く口付ければ、思えばキスすらろくにしていなかった事を思い出した。 口腔の甘さが、飢餓感を酷くさせる。 普段は求められる回数の方が多くて棚に上げていたが、自分も随分重症だと、神田は口許を緩めた。 「ぁ、あ、や」 シャツの裾から手を滑らせると、指先が冷えていた所為かアレンは僅かに身を捩る。 けれどこの行為自体を嫌がっている様子は無く、背後から抱えていた身体をゆっくりとシーツの上に横たわら せれば、白く細い両腕が引き寄せるように首に絡められた。 「か、ん・・・・・・」 「すぐ悦くしてやる」 「ん、じゃ、無くて」 「あ?」 「ユウに、ミルク、あげたいんですけど・・・・・・」 「・・・・・・」 駄目?と伺ってくる内容と、現状がどうにも比例されない。 神田はベッドの下で必死に上がって来ようとしているらしい仔猫を一瞥し、小さく舌打ちをした。その時、 「アーレーン!!リナリーがユウの、引き取り、見つけ・・・・・・」 ノックも無しに入室してきたラビは、目の前の光景に徐々に青褪めた。 朗報を知らせに来たは良いが、状況は最悪。 二人の濡れ場に鉢合わせしてしまったのは今回が初めてでは無いが、神田の機嫌がお世辞にも良いとは言えな い事が分かり切っている今のような時は初めてかも知れない。 アレンは今回も濡れた瞳のままこちらを見詰めているが、対照的に、神田の視線はいつにも増して鋭かった。 「おい、ラビ」 「へ、い?」 「その仔猫、早く連れて行け」 「あ、はい・・・・・・お邪魔さんでした。ほれ、行くぞユウ」 「みぅー」 パタン、と閉められた扉の向こうで、幼い仔猫の声がゆっくりと離れていく。 神田は漸く訪れた安寧の時に胸を撫で下ろしたが、腕の中でいつまでも扉を見詰めている存在は、傍から見て も寂しがっているのが分かるほど消沈していた。 「ユウ・・・・・・」 ピクリと、思わず柳眉を顰める。 気に入ってはいないが、それは己の名で。 ラビから呼ばれるのは腹立たしいが―――今更言っても聞かないだろう―――、アレンに呼ばれるのならば、 それは多少なり意味を持つものだった。 だというのに、二人きりで居るときならば「ユウ」と呼ぶ事の多いアレンは、ここ数日全くその名を口にしな い。正確には、「ユウ」とは言うものの、それは己を指しての呼称では無かった。 くだらないとずっと思っていたが、時効だ。 「アレン」 扉から逸らされた視線が捕らえるのは、もう仔猫では無い。 「明日、口が利けると思うな」 「か、ん・・・・・・ッ?」 唇を舐め、啄ばむように口付ける。 「名前」 カチャリとベルトが外される音が、静かな部屋に響く。 外気に晒されて肌寒いのか、シャツだけを中途半端に着ただけのアレンは、戸惑いながら恋人を見上げた。 「嫌ってほど呼ばせてやるよ」 「ぇ、あ、―――ッア!!」 生温かいものが下肢を包む感覚に、小さな悲鳴が上がった。 神田が任務に出てから今まで、神田が誰も抱いていなければ、アレンだって誰にも抱かれていない。 任務の時でさえ時間が空けば肌を求める自分達がここまで我慢できたのは、ある意味では快挙と呼ぶべきかも 知れなかった。 「や、んッ、あ、あ」 感じる場所も、どうやれば感じるかも知り尽くされている。 口でされるのは好きだし、するのも嫌いじゃない。 けれどいつもと違うやり方について行けず、アレンは潤んだ瞳で下肢に顔を埋めている神田を呼んだ。 「ッユ、ゥ・・・・・・ゃ、いつもと、違う・・・・・・」 「偶には良いだろ」 「ん、ぁ、いや・・・・・・あ、」 とろりと溢れる蜜を舐め取り、舌先で先端を犯す。 焦れったい快感が長過ぎたのか、下肢の蜜のようにアレンの瞳からも幾筋かの涙がシーツに染みを作った。 揺れる細い腰が、強請るように神田を誘う。 クツリと咽喉で笑えば、また新たな滴がこめかみを伝った。 「ユ、ゥ―――ユウッ、ぁ、ふ・・・・・・ンッ」 口を離し、名を呼ぶ唇を塞ぐ。 アレンから溢れた蜜を指に絡めて蕾へと触れれば、熱を持ったそこは容易く長い指を受け入れた。 「あ、も、良いッ・・・・・・やく、はやくッ」 「久しぶりなんだ。我慢しろ」 「いやっ、や、ユウ・・・・・・欲し、い」 「・・・・・・チッ」 常ならばアレンの望みを跳ね返す事は簡単だが、神田にも余裕が無い。 小さく舌打ちして足を開かせると、まだ十分に準備の出来ていなかった蕾へ自身を推し進めた。 「ッ、あ―――ク、ぅんっ」 「―――ッ」 記憶にある限りで、神田はアレンをこんな風に無理に抱いた憶えは無い。 抱く事も抱かれる事も知らなかったアレンが初めて身体を開いた相手は神田だったのだから、今感じている痛み はきっと未知のものだろう。 溢れる涙を指先で掬い、顰められた眉間に労わるようにキスを落とす。 宥めるように頬を撫でていると少しずつ慣れてきたのか、アレンの奥が柔らかくなっていくのが分かった。 「痛むか?」 「へ、・・・・・・き」 ゆるゆると幼く首を振るアレンに痛みを与えないよう、神田はゆっくりと腰を進める。 久々で無理を強いたとはいえ、抱かれる事に慣れた身体は徐々に緊張を解き、時間を掛けて神田を受け入れた。 シーツを掴んでいた指を解かせ、背に回させる。 縋るように立てられた爪が肌に食い込んで微かに痛んだが、大した事では無かった。 「っあ、ん、ぁあ」 ずるりと一旦腰を引き、推し進める。 引く時の喪失感に抗って自身に絡みつく媚肉は熱く、抱く側の支配欲を煽る。 同時に湧き上がる焦燥は、仔猫に向けられた笑顔を思い出させて・・・・・・。 「あんな顔、他の奴に見せてんじゃねェよ」 「え、な―――ンあぁッ!!」 最奥を強く穿ち、アレンの蜜が神田の腹を濡らす。 銀灰の瞳は達した直後でも虚ろ気に誘う色を含み、艶かしい表情は男の理性を焼き切るに十分なほど。 アレンが神田以外眼中に無いのは周知の事実だが、構わずアレンに想いを寄せる者は多い。 そんな輩が、アレンの無邪気な笑顔を見て想いの丈を増徴させた事は想像に難くなかった。 牽制しなくとも、神田が居る限りアレンに手出しする人間は居ないだろう。 けれど、離れている時間が無いわけでは無い。 AKUMAの殲滅を第一に考えなければならないエクソシストは、例えヴァチカンからパートナーでの行動を 決められているとは言え、今回のように単独で任務に就かなければならない事もある。 今回は仔猫が居たからという理由だったが、どんな理由であれ、またあの笑顔が他の目に触れる事は歓迎でき なかった。 「大体、仔猫なんてどっから・・・・・・」 「ん、っ、ラビとリナリーが・・・・・・任務に行って、連れて帰ってきたんです」 「あいつ等・・・・・・」 「ユウが居なくて僕が寂しがってるだろうって、心配してくれたんですよ?」 「俺が帰ってきても、お前は猫ばかりに気を取られてたけどな」 腹を濡らした蜜を指先で掬って舐め、少しばかり濃い味のそれにクツリと咽喉を鳴らす。 自分が任務に出ている間、ろくに自慰もしていなかったのだろう。 それもまた、仔猫を構っていた所為か。 「・・・・・・妬けるな」 「え?―――ンッ」 意地悪く緩慢な動作で腰を揺らせば、急な刺激に弛緩していた媚肉がキュッと窄まり、自身が締め付けられ る。 「猫にばかり感けて、俺のことは思い出さなかったわけか?」 太腿を掴んで膝を割り、自らの肩に足を掛けさせる。 戸惑いの表情を浮かべるアレンに何の予告も無く突き上げると、繋がった場所がぐちゅりと音を立て、アレ ンの喘ぎが高く響いた。 「やっ、だって―――ひっ、ああ・・・・・・ッ!!」 「だって、何だ?」 「ッ、だ、って・・・・・・あの子、ユウにッ」 「俺に?」 「あ、あ、ッんぅ」 言葉を紡ごうとする度に感じるところを執拗に攻め、引っ切り無しに喘ぐ唇を自分のそれで塞ぐ。 無理に呼吸をしようと開かれた唇に舌を滑り込ませると弱弱しく胸を叩かれたが、構わなかった。 逃げようとした舌を捕まえ、絡め取る。 イケない苦しさに泣くアレンの髪を一度撫でるように梳くと、神田は一瞬力の抜けたアレンの蕾を最奥まで 犯し、同時に絡めていた舌を強く吸い上げた。 「―――ッ!!」 「く、ッ」 締め付けに引き摺られそうになった吐精感をギリギリで殺し、ずるりと引き抜いてアレンの腹を汚す。 普段ならこの程度のペースは平気なアレンも久しぶりでは辛かったのか、達したと同時に意識を手放したよ うだ。 少々苛めすぎたかと苦笑しつつ、腕の中で身じろぐアレンの髪を梳いて耳の後ろにチュッと音を立てて唇を 離す。 「だ、て・・・・・・似て、た、」 起きていたのかと目を丸くしたが、愛すべき銀灰は閉じられたまま。 寝言のように呟かれた一言は、「何に」と訊くまでも無くあの仔猫を可愛がっていた理由だろう。 「明日、口が利けると思うな」と事に及ぶ前に言ったように、初めよりも掠れていた声は明日になれば痛み を訴えそうで。 「『猫可愛がり』くらい、お前相手ならいくらでもしてやる」 神田は桜色の唇に触れるだけのキスを贈ると、腕の中で猫のように丸くなるアレンの耳に優しく囁いた―――。
『誓いの口吻』のアレン君っぽく無く純粋にしか見えないのが怖い。 でも結局神田さんが甘やかしてるから一緒でしょうね・・・・・・(笑) 甘いよお前ら。 エロいよお前ら。 2006/10/27/canon
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